『NANA』

NANA -ナナ- スタンダード・エディション [DVD]
★★★☆☆
映画冒頭、成宮なにがしがビール片手に「やっぱライブは最高だべなー」とのたもうた時、わたくしは「ありえねえ」と低く低く呟きました。と言うのも中島美嘉が歌うブラストなるバンドの打ち上げが行われているその居酒屋が、今にも「ヨロコンデー」と掛け声が聞こえてきそうな、いやそれどころか三平酒寮的な生活感とオイニーが漂っていたからです。居酒屋だけではありません。続く雪降る街も新幹線も東京駅も、なんと言っても707号室までもが貧乏臭くシミったれているのです。人物も同様です。中島美嘉はともかく、宮崎あおいタンまでもがブチャイクに映っている瞬間が度々あるのです。要するにこの映画、しろうとがエラソーに言わせてもらうならば映像がショボい、ショボ過ぎるのです。
断っておくと、登場人物の心理などは生真面目に描かれていて、人情(悪く言えば泥臭い)ドラマとしてそれなりに成立しています。宮崎あおいタンも従来のイメージと異なるハチという役柄をその鬱陶しさも含めて軽々と演じており、さすがは選ばれし神の子と思わせます。これ映画の作りとしては正しいのかもしれません。ファッションとかインテリアとか漫画のイメージを再現することにのみ腐心して、中身はスッカラカンなものになるよりは。しかし個人的には内実の伴わないビジュアルだけの映画でも構わなかったのです。いや正確には宮崎あおいタンが可愛く撮れていればスカスカだろうが、なんちゃってショービズものだろうが何だろうが文句はなかったんですよおおお!
次回作ではもっともっと気合を入れてパワーホール全開で、雪降る街も新幹線も東京駅も707号室もスベピカに、そしてあおいタンは可愛く美しく撮って頂きたいと思いました。以上です、編集長。