『しあわせの理由』 グレッグ・イーガン

しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)
★★★☆☆
短編集。個人的に気に入ったのは、エイズは神が"不実"な人々に与える裁きだと考える狂信的原理主義者が、より「効率的」なウイルスの作成に血道をあげる『道徳的ウイルス学者』(オチが抜群に下らないです)、何の変哲もない聖像が莫大な金額で競り落とされ、移送する途中で運び屋が消された謎を追う擬似ハードボイルド調の『チェルノブイリの聖母』、脳の手術によりあらゆる事象を「しあわせ」に感じられるようになってしまった男が、主体的に(ツマミを調整して!)好悪を選択しようと試みる『しあわせの理由』といった辺り。