『マイ・ボディガード』

マイ・ボディガード プレミアム・エディション [DVD]
★☆☆☆☆
以下、ネタバレ。
デンゼル・ワシントンが「過去に傷ある男」ということは繰り返し強調されるのですが、「傷」に関する具体的な説明は最後までありません。テロ対策組織に従事していた間に何を体験したのか?酒浸りで自殺の真似事をしたり聖書に縋ったりはするものの、それだけでは如何なる闇を抱えているのか判然としません。
改めて言うまでもないのですが、そもそもこれは下世話なお話です。ダコタが誘拐されることも、デンゼルさんがパニッシャーと化すことも前提で、むしろ観客であるわたくしはそれを楽しみに来ている。社会派でも何でもない娯楽映画です。であるからこそデンゼルさんが抱える「痛み」を雰囲気で誤魔化さず、愚直に正面から描いて欲しかった。その上で初めて、少女との交流により芽生える喜びも、後の復讐も真実味を獲得するのではないでしょうか。
またこの映画、とにかく映像も音楽も騒々しく落ち着きがない。画面はエフェクトかけ放題、カットは秒単位で目まぐるしく切り替わり、終始大音量のBGMが鳴り響く。銃撃や拷問シーンだけならまだしも、日常会話でさえこの調子。トニー・スコットがそういう志向の監督であることは知っているつもりでしたが、これは幾等なんでも遣りすぎで「MTV的」などと呼ばれる範疇を越えています。まともに映画を見せる、語る気はないのか、それがお前のやり方かと、問い詰めたくなります。
ぶっちゃけ、ダコタの水着姿がなければ0点ダコタ。