『機動戦士ZガンダムII-恋人たち-』

機動戦士ZガンダムII -恋人たち- [DVD]
★★★☆☆
映画版の一作目では(TVシリーズと比べて)カミーユの性格は幾分マイルドに、シャアとアムロはダメ中年ではなくカリスマとして描かれ、「なるほど新訳とはこういうことかー」と思ったわけですが、二作目でも順当にそうした改変作業が行われているのかと思いきや、さにあらず。元通りどころかむしろTVシリーズ以上のエキセントリック少年、ダメ中年になっていて、これどうなってんのよと。理由は簡単で、尺が短いのに話を詰め込み過ぎなせいで、どのエピソードも始まりと終わりがあっても中が抜けている状態。おかげでキャラクターの感情の振幅がとんでもないことになっております。
逐一突っ込んでいくと際限がないのですが、とりわけ凄いのはカミーユとサラが再会するくだりです。ここでのカミーユのエキセントリック少年ぶりは群を抜いていて、サラと楽しそうに談笑していた直後にいきなりブチ切れ、「今度会ったら八つ裂きにしてやる!キサマニハジゴクスラナマヌルイ!」と言い放ったり、「死ねばもろともだあ!」と両足タックルからのパウンド*1を敢行したりと、もーなにがなんだか全く分かりません。
サラの吹替は池脇千鶴で、またこれがあのちーさまとは思えない程の棒読み下手っピで度肝を抜かれるのですが、勝手に推測するならば余りにもお話の展開がデタラメなせいで、一体どういう立場から演技すれば良いのか把握できなかったのではないでしょうか。
ハッキリ言って映画としてどーこー以前に、人様にお見せする商品として最低限の形式すら成立していないと思うのですが、じゃあ詰まらないのかと問われたら、全くそうは言う気になれず。とにかくテンションは異様に高く、戦闘につぐ戦闘が繰り広げられ、そして富野台詞のツルベ打ちを聞かされていると、細かいこともどうでも良くなってくると言うか。いや細かくないだろう、色々とデッカい穴ボコが開いてると思うのですが、もうこれはお祭りだから、楽しまなきゃ損だよなと。もちろん次も行きますよー。死ねばもろともだあ!

*1:冗談と思われる方もいるでしょうが、これ全部ほんとうなんです!