『グエムル 漢江の怪物』

グエムル-漢江の怪物- スタンダード・エディション [DVD]
★★★☆☆
何の前触れも無く登場し群衆を蹴散らすグエムルさんにはビビってたじろぎ、下水溝での悪戦苦闘には手に汗握り、弓引くペ・ドゥナ先生には興奮しと、十二分に面白い映画だったのですが。お腹一杯大満足で劇場を後にしたかと言うと「うーん…」と唸ってしまいます。

シリアスな場面で殊更に挿入されるギャグ。定型から逸脱した展開。どうもこういった捻り、作為が煩わしく感じられてしまったのです。同じ監督の映画でも『ほえる犬は噛まない』のような小品であればこの種の芸風も好ましく感じられました。しかしわたくしは「怪獣映画」にはやはり変化球よりも直球、あるいは大暴投を求めてしまいます。

例えば薬品の散布で無人となった街並。あるいは洋上を進む第七艦隊。日常が崩壊、変貌してしまう光景、そしてその後の大状況の活写をこそ望んでしまうのです。端からそういった欲望に応えるつもりの作品ではなく、これ無いものネダリと言われたらそれまでなのですが。


蛇足:
巷では『WXⅢ』のパクリとか騒がれているそうですが。確かにクリーチャーの外見は似てなくもないですが、お話は全然別物、カレーとおせち程に違うぜよと思いました。なるべく色眼鏡をかけず、実物に接した上で判定を下すべきではないかと。