『鋼』 ダン・シモンズ

鋼 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
★★★★☆
SFやホラーの書き手としてのイメージが強いシモンズですが、これはアクション小説。私立探偵がマフィア・グループの元から失踪した会計士の身柄を追う…と筋立てに目新しさは欠片もないのですが、とにかく矢継ぎ早な展開、アクション(と言うよりはバイオレンス)で押し切られます。皮肉の効いた台詞回し、定番の逆境で叩く減らず口も効果的。例えばこういうの。

「何か最後の言葉はある、ジョー?」
クルツはしばらく考えてから答えた。
「ベッドのあんたはそれほどよくなかったな。『ハスラー』のグラビアとハンド・ローションで、もっとずっとよかったことが何度もあったよ」

よし、俺もいつかこれ使おう(そんな状況はありえません)