『七王国の玉座(上・下)』 ジョージ・R.R. マーティン

七王国の玉座〈上〉―氷と炎の歌〈1〉 (氷と炎の歌 (1))
★★★★☆
ハードカバー上下巻二段組、併せて900ページ近く。しかもこれがまだシリーズ全体では序盤に過ぎないというのだから、まー気の長いお話です。登場人物もやたらと膨大で、巻末の人名目録を捲っては「えーこいつが誰であいつがおれで」と確認必須。個人的なお気に入りはジョン・スノウ君(14歳)。大公の息子でありながら私生児故に栄達が望めず、自ら辺境警備の任に志願する。当初は周囲と衝突するものの、やがて己の未熟さを受け入れ(腹違いの兄妹たちよりも強い絆で結ばれた)"ブラザー"の関係を築いてゆく…。英雄・豪傑だけでなく、こうした等身大の人間がキッチリ描かれると絵空事の世界も地に足が着いたものに感じられます。彼とウスノロデブのサムの交流など特に魅力的。
しっかし一方でこの小説、女性陣はどいつもこいつもロクでもねえ輩揃い。歌物語に憧れ現実をちっとも認識しない公女のサンサ(11歳)など、ストレス発生装置*1としてのみ機能しています。あー、もっと萌えるキャラクターが出てこないものでしょうか、でしょうか。

*1:終盤でしっぺ返しを食らい、次巻以降は立ち位置が変わるのでしょうが。