『涼宮ハルヒの憂鬱』

涼宮ハルヒの憂鬱 1 限定版 [DVD]
今日びのアニメに対して厳しく辛口なid:pencroft氏までもが、この作品に限っては「出来ておる喃…」と高く評価しており、作画や演出といった「外側」だけでなく「内側」にまで踏み込んで言及しています。

http://d.hatena.ne.jp/pencroft/20060430#p1
オレはこのアニメーションが、クラスの中で少数派で裏街道の少年少女たちに勇気を与えるようなものになればいいなと思う。君たちはクズではない、かといって選ばれしサイオニクス戦士(幻魔大戦)でも全然ないんだけれど、現実と折り合いをつけつつ行動することで人生を少しでも面白く変える力を君たちはもともと持っているんだよというメッセージを、説教臭くなく伝える方向に行ってくれと思う。明らかに超常SF的物語と設定を背景に持ちつつ、しかしそれよりも地に足つけて日々を面白おかしく生きることが大切で、そのためには何はなくともまず自分から何かをしましょうという極めてまっとうな作品ではないかと、現時点では希望まじりに推測している。

このエントリーにオタクどもが群がり、雁首揃えて「そのテーマは良いですね」だの「深く感動いたしました」だのと賛同する集会になっており、なんだなんだお前らはそんなに生き辛い思春期を送ったんか!と突っ込みたくなります。まーしかしここだけの話、僕様ちゃんも上記の文章には頷くところ大であったりします。
例えば、5話において主人公キョンは、ハルヒの「この世の不思議を探す」という企画により、街中をあちらこちらと彷徨い「休日を無駄にした」と呟くわけですが。決してそれは無駄ではない、むしろささやかだけれど十二分に楽しいことなんだよと。なにも小僧、ソープへ行ったりしなくても、本を捨て町へ出て図書館に行く程度でも良いんだよと。それこそが「冒険でしょでしょ」であり「簡単なんだよこんなの」と謳っているのではないかと。斯様に感じるのです。もっとも、原作既読の友人に言わせると「そんな若人を導くテーマなんてねえですよ。むしろセカイ系。つうかエロゲー?」とのこと。なんだい、単に僕様ちゃんが希望や幻想を画面の向こう側に勝手に見出しているだけってことかい!
ではこのアニメが特別にメッセージもなく、すこしふしぎで「愉快な仲間との学園生活」を描くだけのユルい内容であったら、不満を覚えるのかと言えば、それならそれでウエルカムでありドンと来い超常現象と思うのです。何故なら既にしょぼくれたオッサンであるわたくしにとって、「愉快な仲間との学園生活」は決して触れることの出来ない、輝かしく貴いものだからです。西日差し込む教室の、黒板に書かれた「SOS団ミーティング。議題:七夕について!」という文字だけで遥かノスタルジィを感じてしまうのです。うーん堪らんぜよと思うのです。結局お前、なんでもええんかと。