『ソラニン』#1 浅野いにお

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)
★★★☆☆
生れてはみたけれど、大学は出たけれど、浮気なぼくらは相も変わらずモラモラと目的もなくクラゲのように漂うばかりで。一念発起して昔鳴らした楽器を手に取ってみたりもして。でもそんな砂糖菓子の弾丸がヒットチャートを駆け抜けるわけもなく。陽はまた昇り繰り返して。いつの間にやら行き止まり。じっと手を見る。そんなお話。
僕チャンチンは真っ当で健全な上昇志向の物語についていけないダメまった人間で、例えば『Paradise Kiss』など読むと、そこで語られる「諸君!鳩よ!ねだるな、勝ち取れ。さすれば与えられん」といった前向きなメッセージに俯き、「みんなが山田優になれるわけぢゃないし…」などと呟いてしまうヘタレフライングキッズなわけですが、ではこの『ソラニン』の低空飛行感がジャストフィットでベストヒットUSAで全肯定出来るのかと問われたら、さすがに躊躇いを感じてしまいます。ぼくらは才能もない平凡な人間で毎日は退屈なものかもしれないけれど、それを感傷的に「だよねー」と確認し合うのは余りに伊藤ヘイソクではないかと。同じモラモラ状況を描くにしても、平凡で退屈なことを踏まえた上で、自分なりの遣り方で日常を(ソフトに)ロックする、そういうお話の方が好ましく思うのです。
あーでも最終的な着陸次第では上の感想は思い切り的外れなものかもしれないんですよね。分かりました続きも読みます、読んでやりますよおおおおおおお。