『真・女立喰師列伝』

真・女立喰師列伝 公式解説書
★★☆☆☆
「今更こんなガルムの残滓を見せてなあコラ…何がしたいんだコラ」と詰め寄るわたくしに対して、押井キチガイの友人は至極平静。ファン限定の内輪向けお祭り映画なんだから、別にいいじゃない、だいたいでいいじゃないと。まー確かに言われてみればこれ息抜き企画、集まる観客もそれと承知の犬ヅラばかり。大上段で受け止めてアレコレ批判するのも筋違いなのかもしれません。
しかしねえ、一応わたくしも押井守好きの末席に身を連ねてきた人間として、忸怩たる思いがあるのです。「そろそろ仕事の話しません?」と言いたい気持ちになるのです。だってぶっちゃけ、『パトレイバー2』以降なんぞグレートで義太夫な映画がありましたかと。正直わたくしには過去の遺産を食い潰してきたように思えます。言うならば、ヘンゾ・グレイシーとの大一番を担保に、以降はガチンコを避けてU系ぬるま湯プロレスでお茶を濁してきた田村のように映るのです。
やっぱりねえ、今回の『真・女立喰師列伝』のような作品を前にして「本気じゃないのよね。お遊びよね。趣味的な小品ってやつよね。ね?」などと騙し騙し言い聞かせるのは自分(の精神衛生上)にも送り手に対しても良くない気が致します。ここは何の捻りもなくブーイングを飛ばし、ピッチャーしっかり投げんかいと言うべきではないかと。
押井守さん御自身も前作『イノセンス』は「更年期障害だった」と語り、次の『スカイ・クロラ』は全力でやったるぜいオッスオッス!と吠えております。その意気や良しと思います。出来ればまた、世界が転覆するよな映画を撮って下さいよと。もう立ち食いとか二つで十分ですから。