『子供の眼(上・下)』 リチャード・ノース・パタースン

子供の眼〈上〉 (新潮文庫)
★★★★☆
『ラスコの死角』『罪の段階』と弁護士として活躍してきたクリスが、本作では一転して殺人犯として逮捕される。しかもクリスは法廷での証言を拒否。彼の恋人、息子、弁護人の誰もが無罪を確信できぬまま審理は進むことに…。
以下、ネタバレ。
圧倒的に不利な状況から、検察側の盲点を突き、証人を切り崩し、陪審員に訴えかける、言葉と言葉が火花を散らす法廷劇。めっさ面白かったです。久方ぶりに一気読み。早い段階で犯人の見当はつくのですが、主眼は「誰が」ではなく「何故に」あるのでそれは欠点には当たりません。そして裁判が終わった後、明らかになる真相は上下巻を引っ張るに値するヘヴィなもの。恋人、テリは口を閉ざしてきたクリスの覚悟・未だなお背負ったものに驚嘆し、問い掛けます。

「どうして、ここまでやってくれたの?」
クリスが小さく微笑んだ。
「さっきも言ったとおり、愚かだからさ。でも、今夜はもうやめよう」

し、痺れる。よし、俺もいつかこれ使おう(そんな状況はありえません)