『プロレス 影の仕掛人』 ミスター高橋

プロレス影の仕掛人ーレスラーの生かし方と殺し方 (講談社+α文庫)
★★★☆☆
『流血の魔術』で話題を呼んだミスター高橋によるプロレス内幕もの。馬場さんのことは「日本プロレス界の良識」と絶賛する一方で、猪木は「プロレスラーとしては天才だが、平気で他人を裏切る」とたいへん批判的。さもありなんと思わせるのがアントンのアントンたる所以でしょうか。全体の主張は「プロレスは筋書きのあるショーである。だが筋書きがあるからこそ奥が深く面白い」というごく真っ当なもの。新日本プロレスに対する「中途半端な格闘技路線を止めて、もっと選手を活かすアングルを練るべき」という意見も大いに頷けます。
しかし完全に乗り切れない部分もあって。確かにエンターテインメントに徹したWWEDRAGON GATEは面白いし素晴らしい。でもそれだけじゃあ満足できないんだよなーと。これ未だにプロレスラーに「強さ」の幻想を求めてしまうからでしょうか。小橋のラリアット食らったら死ぬだろ!とか永田さんのエクスプロイダー受けたら選手生命が、いや生命が危ない!とか。そういう間違ったロマンを捨て切れないのです。あーいや、前者は本気ですが後者は単に言いたかっただけです。