『日本沈没』

日本沈没 スペシャル・コレクターズ・エディション (初回限定生産) [DVD]
★★★☆☆
「フジャケルナ!」
「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ…」
「こぼれた水はまた汲めばいい」
「奇跡は起こる、起こしてみせます」
「ニューガンダムは伊達じゃない!」
「恵美子さんと幸せに暮らせよ」


…良く言えば『原子力潜水艦浮上せず』、悪く言えば『アルマゲドン』。出来てる、出来てないで分類すれば残念ながら後者に属する作品と思います。しかしわたくしはこの映画にバリゾーゴン浴びせたり、胸倉掴んで「殺しが足りんのだよ殺しが!(ドンっ)」と迫る気にはなれないのです。

何と言っても今日びの邦画においてこのような大作ディザスタームービーは稀有であること。たとえば犬童一心先生の映画など見ますと「出来ておる喃…」と感心するのですが、一方でどこか物足りなさも覚えるのです。育ちの悪いボックンとしては、個人レベルの葛藤を丹念に描いた良作よりも、破れかぶれでもドドドーンと花火を打ち上げる作品を望んでしまうのです。この『日本沈没』は少なくともメガ豚ファイトが見たい、見たいぜー!という欲望には十全に応えてくれる映画でした。まずはそのことを喜びたく思うのです。

ただ諸手をあげて万歳三唱するにはやはり躊躇いを覚えます。お涙頂戴でご都合主義な展開の数々。激昂したトヨエツがパソコンを破壊する件を筆頭に、クサナギ君があちらこちらにテレポーテーションしたりと変テコなシーンも散見されます。樋口真嗣さん個人に対しても「画を見せる手腕はズバ抜けているけれど、お話を語る能力は欠落しているんじゃ…」という懸念を抱いてしまいました。
とは言え監督としてはまだまだ新人、これからではないかと。長い目で見ていきまっしょいと思うのです。樋口さんと言えば平成ガメラシリーズの特撮は勿論、ベターマンなどアニメでも才気走った映像を見せてきた方です。いつか必ず傑作をものにしてくれると信じています。大丈夫マイフレンドです。