『サマーウォーズ』

サマーウォーズ オリジナル・サウンドトラック
★★★☆☆
面白かったです。面白かったのですけれども。
ぼくらのウォーゲーム』の時は、おとなたちの預かり知らないところでピンチが訪れて、子供たちが密かに世界を救う。『サマーウォーズ』では危機的状況を皆が知っていて、家族総出で困難に立ち向かう。正しきスケールアップです。でもさー、あの大長編ドラえもん的な、秘められた冒険感覚が良かったんじゃない!とも思うのです。
あとですね、田舎とか大家族とか高校野球とか真っ当な食事とか労働とか恋愛とか。僕様ちゃんてば、そういうものに背を向けて生きてきたわけじゃないですか。都会大好き、消費文明万歳。風の谷よりトルメキア王国。うつし世は夢、XBOX LIVEこそまこと。彼女がいなくてもブルーレイがあればヘッチャラさ!そんな人間には、この「真っ当さの肯定」はキツいものがありましたよ。「お前は客じゃない」と言われたら、それまでの話ですが。
宮崎御大が『シグルイ』で言うところの「曖昧な状態」へ至り、永遠のモラトリアム中年であったはずの押井監督が「君は生きろ」と説教を始め、庵野ヒゲメガネまで「ポカポカしたい」などと口走る昨今。トドメを刺された心境です。もう童貞映画を撮ってくれるのは新海誠先生しかいないよ…。新海、いやマコトと呼ばせてくれや。マコト、頼むで!
ちゅうかアニメの仇をアニメでとる、というその発想自体が間違ってるのでは…。フィクションを自己肯定ゲームに用いるのは止めましょうよ…。そうです…。そうですよね…。うぐぅ